SOEのひとりごと

Salesforce管理者兼エンジニアのSOEがつぶやいてます

オレオレ詐欺と人間の意思決定の優位変化

非常に物騒なタイトルで初めてしまい申し訳ございません。
ただ、これは高齢者になり、ターゲットになった99%の方は被害に遭うことは科学的に明らかになってきている事実なんです。

これを読んでいる方で高齢者の枠に入っている当事者の方はほとんどいないかと思っています。おそらく家族がそういった被害に遭うかもと思っている方が読んでいることでしょう。

そのため、本記事では高齢者がなぜ騙されてしまうのか、どうすれば防げるのかについてお話しいたします。

可能であれば、最後まで読んだ内容をもとにご家族を守っていただければと思います。

背景

オレオレ詐欺は、近年急増している犯罪の一つです。この詐欺手法は、犯罪者が被害者に対して自分自身を親戚や友人などと偽り、金銭や個人情報をだまし取ることを目的としています。

この手法のロジックは被害者の信頼や感情に訴えかけ、被害者が冷静な判断を欠いてしまう心理的な動揺を利用します。

三者としてこの話題に触れると必ず出てくる言葉が「自分は大丈夫」です。何が大丈夫なのでしょか?

残念なことに、人は年齢を重ねるほど、オレオレ詐欺に対して脆弱になる傾向があります。その理由は、意思決定の変化にあります。

実は人間の意思決定には、ステマティックヒューリスティックの2種類があり、加齢するほど後者のヒューリスティックが優位になることが科学的に明らかになっております。

ステマティックとヒューリスティックの違い

ステマティック

この思考方法の特徴は、情報の収集、分析など、問題解決に向けた論理的な手法を用いることです。つまり、問題や意思決定に関わる情報を綿密に検討し、正確な結論を導き出すことを重視しています。

ヒューリスティック

この思考方法の特徴は、経験等に基づく簡略化された判断基準に頼る思考スタイルです。つまり、直感的に意思決定して問題を解決し、情報の不完全さや時間の制約下で効率的な判断を行うために用いられます。

大きな違いは?

これは一言で表すと「脳にかかる負荷」が違います。

若いうちから勉強の習慣があるとわかると思いますが、難しい問題にチャレンジすると非常に脳に疲労感がたまるような感覚があると思います。

その感覚は脳への負荷で、加齢により情報処理能力が低下していきます。そして、この負担を減らすためにだんだんとヒューリスティック優位な思考に頼ってしまうのです。

そんな簡単に騙されるものなのか?

察しの良い方はここまでですでに答えが出ているかもしれませんが続けます。

まずは加齢による認知機能の低下についてグラフで見てみましょう。
いわゆる高齢者の年齢層から極端に低下しているのが分かります。

画像
出典:認知症ねっと

次に、よくある騙された理由についてみてみましょう。

  • 親族の声に似ていた

  • いろんなことを言われて面倒だった

  • 話の内容に筋が通っていたから

  • 自分や親族のことを理解していたから

これらはほんの一部ですが、理由をみてどう思いましたか?

「こんな理由で騙されるとか意味わかんねぇよ!」

となったでしょうか。
私もそう思います。しかし、これが現実です。

相手を信用しきっている状態であるからこそ、「事故で相手を轢いてしまった」などでさらに動揺してしまい、沼にハマってしまうのです。

自分は大丈夫と思っている老人ほど、認知能力が当てにならないほど低下しているにもかかわらず、ヒューリスティックな思考で判断してしまい、バカみたいな理由で被害に遭ってしまうのです。
そしてこれは、今を謳歌する若者や働き盛りの男女全てに今後訪れる避けようのない未来なのです。。。

この高齢者の思考の特性をもとに、オレオレ詐欺の手口を見るとロジックとして完成した手法であることがよく分かります。
※若者でも直感でしか物事を判断できない人はマルチにハマってますよね?

対策案

これらを踏まえた上での犯罪対策について考えてみました。
前提として、詐欺にあっている当人の判断能力は基本的にあてにしていません。というかしてはいけません。

下記方法を単独ではなく、複合的に利用することで、オレオレ詐欺への対策になるかと思います。

受信するメールや電話のログを家族サーバに保存させる

企業で社員のメールのやり取りや、通話記録を監視するものとおなじですね。これをすることで、違和感だったり、誰といつ電話したかを機械的に判断するなど使い回しできそうです。

電話にて定期的に30分ほど1on1する

これは近況の把握のほかに、電話越しでの自分の声を再認識させるのに有効と思われます。しばらく話していないから、どんな声かを勝手に補正して騙されるんだと個人的には思います。

音声認識AIを使って親族かを判定

人間がかけてきたものなら対策できます。ただし、相手もAIを使った親族の声を模した音声の場合、対策になり得ないかもしれません。

最後に

世の中にはこういった生物の特性を理解できない方が多いため口を揃えてこういうと思います。

「騙される方が悪い」

でもそうではないのです。
正確な判断を十分にする能力が衰えた人間には残っていないのです。
だから最後は若い家族が守ってあげる必要があるんです。
予防は警察任せにできる範囲ではないのです。当人以外が目を光らせるしかないのです。

だからこそ、老人の意思決定のため、AIを使ったサポートサービスが必要となると私は思います。