SOEのひとりごと

Salesforce管理者兼エンジニアのSOEがつぶやいてます

”4630万円誤送金問題”で考えるべき、SNS社会での人間性について

 

言い方が良くないかもしれませんが、2022年5月時点で国内で最もアツイニュースが記事のタイトルにもなっている”4630万円誤送金問題”です。

これにはいろんな意見が飛び交っており、さらに現代ではなかなか目にすることのできない、記憶媒体が使用されているなど非常に活発なものとなっております。

しかし、当事者に対する非常にやりすぎな活動がSNSを中心に繰り広げられています。

そこで今回は、この問題について、やりすぎだなってところや、阿武町のやり方についてお話ししていきたいと思います。
※もし本記事に対してコメントがございましたら、優しくご指摘いただけたら幸いです。

4630万円誤送金問題とは

他記事から問題についての説明を引用してきました。

この問題は、阿武町が新型コロナの影響で生活に困窮する世帯を対象に1世帯当たり10万円を支給する国の臨時特別給付金について、463世帯分の合わせて4630万円を誤って町内の24歳の男性の口座に振り込み、その後返還を拒否されているものです

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220517/k10013630551000.html

問題の一連の経緯について

4月3日
フロッピーディスクに入ったすべての世帯分の口座情報を銀行に渡し、対象となった463世帯への振り込み手続きを実施した。

4月6日
銀行に振り込み依頼書を提出した。※本来不要な書類とのこと
銀行は依頼書の指示に従い、男性に一括で4630万円の振り込み処理を実施した。

4月8日
男性に現金10万円と4630万円が二重に振り込まれた。

同日中
銀行から二重に振り込まれているという指摘を受けて誤りに気付き、直ちに男性に謝罪するとともに返還の手続きを求める。

同日中
男性と共に宇部市まで、阿武町職員と公用車で移動し、銀行へ向かうが、銀行玄関口前で突然立ち止まり「きょうは手続きしない。後日公文書を郵送してくれ」などと手続き拒否を受け入れる。

4月10日
男性から「弁護士と相談する」と町に電話があったあと、町は連絡が取れなくなる。

4月14日
副町長が男性の母親とともに勤務先で本人と面会する。
男性は町の不手際を非難し「弁護士と話す」と繰り返し、拒否する。

4月15日
新型コロナウイルスの影響により、生活困窮の世帯に10万円を給付する国の臨時特別給付金について、阿武町より「対象のすべての世帯分にあたる4630万円を1人の口座に誤って振り込んだ」旨が発表された。

同日中
男性の弁護士から「近日中に母親の立ち会いのもと本人が返還手続きを行うので、日程が決まったら知らせる」と連絡がある。

4月21日
連絡がないことから阿武町職員が男性宅へ繰り返し訪問したところ、夕方になって偶然男性と接触する。
男性は「お金はすでに動かした。もう戻せない。犯罪になることはわかっている。罪は償う」などと返還しない意思を示す。

その後(裁判を起こすまでの期間)
町の調査によると、男性は現金が振り込まれた先月8日から引き出しを始めており、2週間ほどかけて、全額を口座から引き出していたことが判明した。

5月12日
男性に対し給付金の返還を求めて裁判を起こす。
警察も任意で捜査を進めている。

その後
男性の実名、住所を阿武町が公開する。
実名は”田口翔”

SNS上での晒しや煽り行為

注意)コメントしておきますが、私は田口翔さんを擁護するつもりは全くありません。
注意)引用したツイートの投稿主さんを悪く言うつもりもありません。気持ちはわかります。

下記のような投稿がSNS上では多く見受けられます。
※念のため、投稿主さんの名前は伏せておきます。

画像

日本国憲法では、基本的人権の一つとして、言論の自由が保証されています。
しかし、それは諸刃でもあり、自分の発言には責任が伴います。

今回のように、関係者について少々過激な内容が上がりますが、これがより過激で過剰な動きとなり、
田口翔さんがいわゆる”無敵の人”となってしまった場合どうするのでしょうか。

このような文化がSNSの普及で根付きつつあるため、その矛先が関係のない一般の人に向いていってしまった場合どうするのでしょうか。

今一度検討すべきことであると思います。

私的制裁をするなら他にあるはず

個人的に思うのは、匿名性を使って、相手を叩いても報復の可能性が低いから正義マンというか晒しあげ、誹謗中傷も含む行為ができるのだと思います。

例えば下記のニュースについて拡散やコメントをした方はいらっしゃるのでしょうか。

もし今回の容疑者が、893の方でしたら、間違いなくネット弁慶になる方は少ないように思います。
田口さんを擁護する意図は全くありませんが、もし自分が無実の容疑をかけられたとき、同じように晒しあげをネット上にされる可能性があることを肝に銘じておく必要があります。

”撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ”

阿武町の振り込み手続きの問題

阿武町の振り込み手続きのフローに、問題はなかったのでしょうか。

阿武町職員は銀行に、1世帯だけが記載された振込依頼書を提出していますが、これは何のために行われたのでしょうか。組織の損益等に関わる書類提出のため、通常はお偉方の承認や確認といった役所特有の面倒フローが入っていると思われますが、今回はそれが機能しなかったのでしょうか。

フロッピーディスクを使用しているのも非常に珍しく、年代によっては見たこともない存在になると思われます。
※私は最後に見たのが約20年前だと思っています。

おそらくいまだに古いフローやシステムを使用しているなぁなぁな状態であるような気もします。
※なかなか膨大な業務フローやシステムを改新するのは困難だとは思いますが
※外部の人間なので好き勝手言っています。

誰が悪いで終わらずに、根本を解決する努力を

今回の場合、不要な作業が紛れていたことが発覚の原因となっていますが、そもそもこの不祥事をおそらく穏便に済ませようとしていたのが良くないことです。

もし男性がそのまま返金に応じていた場合

画像

「この前誤送金してたけど、すぐに返してもらったからとりま大丈夫ダッピ!」
「住民の皆様ごめんダッピ!」

で済まされていたのではないでしょうか。

国民の血税を持ち逃げしたことについて男性の方には「ハァ!?」と思いますし、イラっとします。
ですが、そもそものところ、根本のところについてもしっかり考えていくべきかと思います。
※政治に興味の少ない民族なので、そこまではなれないかもしれないですが、、、

参考

元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏のコメント

阿武町とフロッピーディスク

田口さんから回収できなかった場合の賠償の可能性